エンロンの公正会計価値について

 

その意味で、エンロンが用いた公正価値会計と特殊目的事業体会計という二つの会計問題は、極めて密接に関連しているが、実際には利益とキャッシュのミスマッチは、依然として解消されなかったようである。(図表2-6)
 公正価値を推定する評価モデルは、将来の市場価格などの数多くの諸仮定を必要とするが、そうしたモデルを基礎づける諸仮定は、最良の場合でさえ、必ず主観的であったし、最悪の場合には、経営者の意図的な操作にさらされた。
 上記のエンロン事例分析が示すように、公正価値会計は、キャッシュ・フローに裏づけされない仮想的利益を早めに認識するがために、会計利益の質が低下する。
図表2-5
エンロンの純利益とキャッシュ・フロー

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単位:百万ドル

 

1998年

1999年

2000年

純利益

703

893

979

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,640

1,228

4,779

キャッシュ・フロー

(59)

177

1,086

(出所)Enron Corp,pp.31 and 34 により作成。

図表2-6
エンロンのキャッシュ・フロー分析

単位:百万ドル

 

1998年

1999年

2000年

総収益

31,260

40,112

100,789

差引:非現金収益

(1,984)

(2,533)

(4,794)

現金収益

29,276

37,579

95,995

現金売上原価

26,381

34,761

94,517

現金売上総利益

2,895

2,818

1,478

営業費用

2,473

3,045

3,184

現金営業利益(損失)

422

(227)

(1,706)

 

 

 

 

(出所)Bassett and Storrie,p.38,Table 2.3により作成。